SharePointを社内のファイル共有に利用するとき、「営業部、人事部、経理部など部署ごとにサイトを作った方がよいのか」と迷うことがあります。
先に結論をまとめると、部署ごとにSharePointサイトを分ける方法は有力ですが、「部署だから」という理由だけで分ける必要はありません。
サイトを分けるかどうかは、主に次の4点で判断します。
- 利用するユーザーが異なるか
- アクセス権を明確に分ける必要があるか
- 管理する担当者や責任範囲が異なるか
- 業務そのものが独立しているか
反対に、部署名は異なっていても同じメンバーが利用し、ファイルの管理方法もほぼ同じであれば、無理にサイトを分割しない方が管理しやすい場合があります。
この記事では、SharePointを部署ごとに分けるべきケースと分けない方がよいケースを、具体例とともに解説します。
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 部署ごとに利用者が明確に異なる | サイト分割を検討 |
| アクセスできるユーザーを大きく分けたい | サイト分割を検討 |
| 部署ごとに管理担当者が異なる | サイト分割を検討 |
| 業務が独立している | サイト分割を検討 |
| 部署名は異なるが利用者がほぼ同じ | 無理に分けない |
| ファイルの用途や管理方法だけ分けたい | ライブラリ分割を検討 |
| 単純なファイル分類だけを行いたい | フォルダーなどを検討 |
SharePointのサイト・ドキュメントライブラリ・フォルダーそのものの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
SharePointのサイト・ライブラリ・フォルダーの違い|どう使い分ける?
SharePointは部署ごとにサイトを分けるべき?
営業部、人事部、経理部、総務部など、部署単位でSharePointサイトを作る方法は分かりやすい設計の1つです。
たとえば次のような構成です。
SharePoint ├─ 営業部サイト ├─ 人事部サイト ├─ 経理部サイト └─ 総務部サイト
部署ごとに利用者や扱う情報が明確に異なる会社であれば、このような構成は管理しやすくなります。
ただし、会社の組織図をそのままSharePointへ再現すること自体が目的ではありません。
部署という名称ではなく、「そのサイトを誰が使い、どのような情報を管理するのか」を基準に考える必要があります。
部署ごとにSharePointサイトを分けるメリット
部署単位でサイトを分けると、主に次のようなメリットがあります。
アクセス権を管理しやすい
部署によって利用するメンバーが明確に異なる場合は、サイトを分けることでアクセス範囲を理解しやすくなります。
たとえば次のような考え方です。
営業部サイト → 営業部のメンバーが利用 人事部サイト → 人事部のメンバーが利用 経理部サイト → 経理部のメンバーが利用
1つの巨大なサイトの中でフォルダーごとに多数の個別権限を設定するより、継続的に利用者が異なる業務をサイト単位で分けた方が、権限構造を把握しやすくなる場合があります。
管理担当者を分けやすい
SharePointではサイトごとに所有者や管理するメンバーを設定できます。
そのため、営業部サイトは営業部側、人事部サイトは人事部側というように、サイトごとに管理主体を分ける構成もできます。
すべてのサイトを1人のIT管理者だけで細かく管理するのではなく、業務内容を理解している担当者と役割を分担しやすくなります。
情報の保存場所を判断しやすい
サイトを業務単位で分けておくと、利用者も保存場所を判断しやすくなります。
たとえば、
- 営業資料は営業部サイト
- 採用関連資料は人事部サイト
- 経理関連資料は経理部サイト
という基本ルールを作ることができます。
ただし、サイトを増やしすぎると逆に保存場所が分かりにくくなるため、細分化しすぎないことも重要です。
業務単位で独立して管理しやすい
Microsoftの現在のSharePointでは、深いサブサイト階層を作るよりも、独立したトピック、タスク、業務単位ごとにサイトを作るフラットな構成が基本的な考え方になっています。
それぞれを独立したサイトとして管理することで、業務の変更やサイトの廃止などにも対応しやすくなります。
部署ごとにサイトを分けない方がよいケース
部署が存在するからといって、必ずサイトを分ける必要はありません。
特に小規模な組織では、形式上は複数の部署に分かれていても、実際には同じメンバーが複数の業務を担当していることがあります。
たとえば、総務、人事、経理という3つの業務があっても、同じ数名がすべて担当しているケースです。
この状態で、
総務部サイト 人事部サイト 経理部サイト
と分割すると、サイト数だけが増えてしまう可能性があります。
サイトが増えることで、次のような問題が発生することがあります。
- 保存先を判断しにくくなる
- サイトごとの権限管理が増える
- サイト所有者や管理対象が増える
- 同じ利用者が複数サイトを行き来する必要がある
- 利用されなくなったサイトが残りやすい
利用者も管理主体もほぼ同じであれば、サイトを分割する効果より管理負荷の方が大きくなることがあります。
1サイト+複数ライブラリの方がよい場合もある
利用するメンバーはほぼ同じでも、ファイルの用途や管理方法を分けたい場合は、サイトではなくドキュメントライブラリを分ける方法があります。
たとえば、次のような構成です。
バックオフィスサイト │ ├─ 総務ライブラリ ├─ 人事ライブラリ └─ 経理ライブラリ
総務、人事、経理の担当者がほぼ同じであれば、3つのサイトへ分けるよりも、1つのサイトの中でライブラリを分けた方が利用しやすいことがあります。
ただし、人事情報や経理情報などでアクセス対象を明確に分離する必要がある場合は、サイトまたはライブラリ単位で権限設計を改めて検討します。
「部署が違うからサイト」「同じ部署だから同じサイト」というように部署名だけで決めず、利用者と管理方法を確認してから分割単位を決めることが重要です。
部署サイトの具体的な構成例
一般的な会社で部署ごとの利用者が明確に異なる場合は、次のような構成を検討できます。
SharePoint
├─ 全社情報サイト
│
├─ 営業部サイト
│ └─ 共有ライブラリ
│
├─ 人事部サイト
│ └─ 共有ライブラリ
│
├─ 経理部サイト
│ └─ 共有ライブラリ
│
└─ 総務部サイト
└─ 共有ライブラリ
この例では、それぞれの部署に独立したサイトを用意しています。
ただし、1つの部署サイトには必ず1つのライブラリしか作らない、という意味ではありません。
たとえば営業部サイトの中で、通常の共有資料と管理方法が異なる契約関連資料を分ける場合は、次のような構成も考えられます。
営業部サイト │ ├─ 共有ライブラリ │ └─ 契約関連ライブラリ
サイトとライブラリにはそれぞれ役割があるため、すべての分類をサイトだけで処理する必要はありません。
課ごとにもSharePointサイトを分けるべき?
部署の中に複数の課やチームがある場合でも、最初からすべてを別サイトに分割する必要はありません。
たとえば営業部に次の3つの課があるとします。
営業部 │ ├─ 第一営業課 ├─ 第二営業課 └─ 営業企画課
この組織図だけを理由に、
第一営業課サイト 第二営業課サイト 営業企画課サイト
を作る必要はありません。
まず次の点を確認します。
- 利用するメンバーが大きく異なるか
- アクセス権を分離する必要があるか
- サイト管理者を分ける必要があるか
- 業務が独立しているか
これらがほぼ同じであれば、営業部サイトの中でライブラリやフォルダーを使って整理する方が単純です。
組織階層が存在することと、SharePointサイトを分ける必要があることは別です。
部署ではなくプロジェクト単位でサイトを作る場合もある
SharePointのサイトは部署だけに使うものではありません。
複数部署が参加するプロジェクトや、通常業務とは独立した活動であれば、プロジェクト専用サイトを作った方が管理しやすい場合があります。
たとえば営業部、人事部、経理部などからメンバーが参加する「新システム導入プロジェクト」があるとします。
この場合、プロジェクト資料をいずれか1つの部署サイトへ保存するより、
新システム導入プロジェクトサイト
として独立させる方が分かりやすくなる場合があります。
つまり、SharePointのサイト設計では、
部署 = サイト
と固定して考える必要はありません。
部署、プロジェクト、業務、情報共有の目的などを基準として、独立して管理する意味がある単位をサイトとして検討します。
サイトを増やしすぎると管理が複雑になる
SharePointでは複数のサイトを作成できますが、作成できることと、作成した方がよいことは別です。
サイトを増やすと、それぞれについて次のような管理が必要になります。
- サイト所有者
- メンバー
- アクセス権
- ナビゲーション
- 保存されている情報
- 利用状況
- 不要になったサイトの整理
特に、
部署 ↓ 課 ↓ 係 ↓ チーム
という組織図をそのままサイトとして細分化すると、多数のサイトが作成される可能性があります。
その結果、利用者が「どのサイトへ保存すればよいのか」を判断しにくくなることもあります。
サイトは「作れるから作る」のではなく、「独立して管理する理由があるから作る」という考え方が重要です。
部署ごとにサイトを分けるか迷ったときの判断フロー
部署サイトを作るか迷った場合は、次の順番で考えると判断しやすくなります。
利用するユーザーが大きく異なる?
│
┌────┴────┐
YES NO
│ │
↓ ↓
サイト分割 アクセス範囲や
を検討 管理主体が大きく異なる?
│
┌────┴────┐
YES NO
│ │
↓ ↓
サイト分割 ファイルの用途・
を検討 管理方法だけ異なる?
│
┌────┴────┐
YES NO
│ │
↓ ↓
ライブラリ フォルダー等で
分割を検討 整理を検討
ただし、このフローは絶対的なルールではありません。
SharePointの構成は、利用人数、業務内容、情報の重要度、アクセス権、将来の運用方法などによって変わります。
迷った場合は、最初から細かく分割するより、明確に分離する理由がある単位だけサイトとして独立させる方が管理しやすくなります。
SharePointの部署サイトを設計するときのおすすめ方針
部署単位のSharePointサイトを設計するときは、次の方針から始めると構成が複雑になりにくくなります。
1.まず大きな業務単位でサイトを検討する
営業部、人事部、経理部など、利用者や業務が明確に異なる大きな単位から検討します。
最初から課・係・担当者単位まで細分化する必要はありません。
2.課やチームは自動的にサイトへ分けない
組織図上で分かれていても、利用者、権限、管理方法がほぼ同じなら、同じサイト内で管理できないか検討します。
3.ファイル管理方法だけ違うならライブラリを検討する
同じ利用者が使うサイトの中で、保存する情報の用途や管理方法だけが異なる場合は、サイトではなくドキュメントライブラリを分ける方法があります。
4.フォルダー個別権限だけで複雑な構成を作らない
例外的なアクセス権を設定するために、フォルダーごとの個別権限を大量に増やしていくと管理が難しくなります。
アクセス範囲が継続的に異なるのであれば、サイトやライブラリの分け方そのものを見直します。
5.組織図を完全に再現しない
SharePointは会社の組織図を再現するためのシステムではありません。
組織変更が発生する可能性も考え、業務や情報のまとまりとして独立させる意味があるかを基準にサイトを作ります。
SharePointを部署ごとに分けるべきかまとめ
SharePointサイトを営業部、人事部、経理部など部署ごとに分ける方法は、分かりやすい設計の1つです。
ただし、部署名だけを基準にサイトを作るのではなく、次の4点を確認してください。
- 利用するユーザー
- アクセス権
- 管理主体
- 業務の独立性
これらが明確に異なるのであれば、部署ごとにサイトを分ける方法は有力です。
一方、部署名が異なっていても利用するメンバーや管理方法がほぼ同じであれば、1つのサイト内でライブラリを分けた方が単純になることもあります。
「部署だからサイトを作る」のではなく、「独立して管理する理由があるからサイトを作る」と考えるのがポイントです。
SharePointそのものとOneDrive・Teams・ファイルサーバーの使い分けについては、以下の記事も参考にしてください。
