SharePointはサイトとライブラリのどちらで分ける?設計の判断基準

SharePointを設計するときに迷いやすいのが、「別サイトにするべきか、同じサイトの中でドキュメントライブラリを分けるべきか」という判断です。

どちらの方法でもファイルやアクセス範囲を分けられるため、技術的に可能かどうかだけでは判断できません。

先に結論をまとめると、基本的には次のように考えると分かりやすくなります。

  • 利用者・業務・管理主体まで大きく異なる:サイトを分ける
  • 利用者やサイトの目的は同じで、ファイル用途・設定・管理方法を分けたい:ライブラリを分ける

つまり、サイトは単なる「大きなフォルダー」ではなく、独立して管理する意味がある業務や利用者の単位として考えます。

判断項目 サイトを分ける ライブラリを分ける
利用者 大きく異なる ほぼ同じ
業務目的 独立している 同じ業務・サイト内
管理担当者 分けたい 同じでもよい
アクセス範囲 大きく異なる 一部だけ異なる
外部共有方針 明確に分離したい サイトと同じ方針でよい
ファイル管理方法 業務全体として異なる 用途ごとに分けたい
ナビゲーション 独立させたい 同じサイト内でよい
将来の独立・廃止 個別に管理したい サイトと一緒でよい

SharePointのサイト・ドキュメントライブラリ・フォルダーそのものの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

SharePointのサイト・ライブラリ・フォルダーの違い|どう使い分ける?

 

SharePointはサイトとライブラリのどちらで分ける?

SharePointでは、サイトの中に複数のドキュメントライブラリを作成できます。

そのため、情報を分ける方法としては大きく次の2通りがあります。

サイトを分ける

たとえば、利用者や業務そのものが異なる場合です。

SharePoint

├─ 営業部サイト
│
├─ 人事部サイト
│
└─ 経理部サイト

それぞれを独立したサイトとして管理します。

同じサイト内でライブラリを分ける

利用者や業務領域は同じでも、ファイルの用途や管理方法を分けたい場合です。

営業部サイト
│
├─ 共有ライブラリ
│
├─ 契約関連ライブラリ
│
└─ マニュアルライブラリ

どちらが上位・下位という問題ではありません。

独立した業務領域として管理する必要があるのか、同じ業務領域の中でファイル管理だけを分けたいのかが判断のポイントです。

 

SharePointサイトを分けるべきケース

次のような条件がある場合は、ライブラリではなくサイトを分けることを検討します。

利用するユーザーが大きく異なる

利用者がほとんど重ならない場合は、サイトを分ける理由になります。

たとえば、次のようなケースです。

営業部サイト
→ 営業部のメンバーが利用

人事部サイト
→ 人事部のメンバーが利用

利用者が明確に異なる情報を1つのサイトへ集約すると、ライブラリごとのアクセス権管理が増え、サイト全体として誰が利用する場所なのか分かりにくくなる場合があります。

このような場合は、独立したサイトとして分けた方が権限構造を理解しやすくなります。

業務そのものが独立している

利用者だけでなく、業務の目的自体が異なる場合もサイト分割を検討します。

たとえば、

  • 営業活動
  • 採用業務
  • 経理業務

では、扱う情報や利用方法が大きく異なります。

MicrosoftのモダンSharePointでも、深いサブサイト階層を作るのではなく、独立したトピック、タスク、業務単位ごとにサイトを作り、必要に応じて関連付けるフラットな構成が基本的な考え方になっています。

管理担当者を分けたい

サイトを管理する担当者や責任範囲を明確に分離したい場合も、サイト分割が有力です。

たとえば、営業部サイトは営業部側、人事部サイトは人事部側というように、それぞれの業務を理解している担当者へサイト管理を分担できます。

サイト単位で独立させることで、「この情報を誰が管理するのか」を明確にしやすくなります。

外部共有の方針を明確に分けたい

取引先など組織外のユーザーと共同作業するサイトと、社内限定情報を扱うサイトでは、共有方針が大きく異なる場合があります。

たとえば次のような構成です。

SharePoint

├─ 社内限定サイト
│
└─ 取引先共同作業サイト

SharePointでは外部共有を組織レベルだけでなくサイトレベルでも制御できます。

そのため、外部共有を許可する業務と、外部共有させたくない情報を明確に分離することもサイトを分ける理由になります。

 

ドキュメントライブラリを分けるべきケース

サイトを利用するメンバーや業務目的はほぼ同じでも、ファイルの用途や管理方法を分けたい場合は、ドキュメントライブラリを分ける方法が有力です。

利用者は同じだがファイルの用途が違う

たとえば営業部サイトを次のように構成します。

営業部サイト
│
├─ 共有ライブラリ
│
├─ 契約関連ライブラリ
│
└─ マニュアルライブラリ

サイトの利用者は基本的に営業部ですが、通常の共有資料、契約関連資料、マニュアルでは用途が異なります。

この場合、それぞれを別サイトにするよりも、同じ営業部サイトの中でライブラリを分けた方が構成を理解しやすい場合があります。

ファイル管理の設定を分けたい

SharePointのドキュメントライブラリでは、それぞれの用途に応じて管理方法を設定できます。

たとえば、次のような項目です。

  • バージョン管理
  • 列やメタデータ
  • ビュー
  • アクセス許可
  • コンテンツの管理方法

利用するサイトそのものを独立させる必要はなく、ファイル管理のルールだけを明確に分けたいのであれば、ライブラリ分割をまず検討します。

一部のファイルだけアクセス範囲が違う

同じ部署やチームの中でも、一部の文書だけアクセスできるメンバーを限定したい場合があります。

たとえば次のような構成です。

営業部サイト
│
├─ 共有ライブラリ
│   → 営業部全員
│
└─ 契約関連ライブラリ
    → 一部メンバー

サイト全体の利用者や目的は同じで、一部のファイルだけアクセス範囲を分けたいのであれば、別サイトを作らずライブラリ単位で分ける方法も検討できます。

ただし、アクセス対象が大幅に異なり、その状態が長期的に続くのであれば、サイトそのものを分けた方が管理しやすくならないか再検討してください。

 

サイトではなくライブラリで十分な具体例

たとえば営業部のファイルを次のように管理するとします。

営業部サイト
│
├─ 共有ライブラリ
│   ├─ 営業資料
│   └─ 案件資料
│
├─ 契約関連ライブラリ
│
└─ マニュアルライブラリ

これらの情報を利用するメンバーがほぼ同じであれば、

営業共有サイト

契約関連サイト

マニュアルサイト

のように3サイトへ分割する必要性は高くありません。

サイトを増やすと、サイト所有者、メンバー、ナビゲーション、利用状況など管理する対象も増えます。

同じ業務・利用者の中でファイル管理だけを分けたいのであれば、まずライブラリ分割を検討する方が単純です。

 

ライブラリではなくサイトを分けた方がよい具体例

反対に、次のような構成ではサイトを分ける方が自然です。

SharePoint

├─ 営業部サイト
│
├─ 人事部サイト
│
└─ 取引先共同作業サイト

この3つでは、次の条件が大きく異なります。

  • 利用するメンバー
  • 業務の目的
  • 管理担当者
  • アクセス範囲
  • 外部共有の必要性

この状態を1つのサイトにまとめ、ライブラリだけで分けることも技術的には可能なケースがあります。

しかし、サイト自体の利用者や管理責任、共有方針が分かりにくくなります。

情報だけではなく「利用する人と業務そのもの」が独立している場合は、ライブラリではなくサイトを分ける方が管理しやすくなります。

 

権限が違うだけならライブラリを分ければよい?

アクセス権が異なるからといって、必ずサイトを分ける必要はありません。

判断するときは、権限差がどの程度なのかを確認します。

たとえば、

  • 同じ部署で利用する
  • 大部分のメンバーは共通している
  • 一部の資料だけアクセス対象が異なる

という場合は、ライブラリを分ける方法が有力です。

一方、次の条件まで異なるのであれば、サイト分割を検討します。

  • 利用者が大きく異なる
  • アクセス範囲の違いが長期的に続く
  • 管理担当者が異なる
  • 業務自体が独立している
  • 外部共有の方針も異なる

「権限が違う」という1点だけで判断せず、その権限差が業務や管理単位の違いを表しているのかまで確認してください。

 

フォルダーごとの権限だけで分ければよい?

SharePointでは、フォルダーやファイルなどに固有のアクセス許可を設定することもできます。

少数の例外的なケースで利用するのであれば有効ですが、基本設計としてフォルダーごとの権限を大量に設定すると管理が複雑になります。

たとえば、次のような状態です。

共有ライブラリ
│
├─ 営業担当者のみ
├─ 管理者のみ
├─ プロジェクトAのみ
├─ プロジェクトBのみ
└─ 特定担当者のみ

このような構成になると、誰がどのフォルダーへアクセスできるのかを把握することが難しくなります。

Microsoftも、アイテムやフォルダー単位の固有権限は管理が複雑で時間がかかる場合があり、同じグループが利用する情報であればライブラリ単位で管理する方が容易な場合があると説明しています。

フォルダーごとの個別権限が増えてきたら、ライブラリまたはサイトの分け方を見直すサインと考えるとよいでしょう。

サイト・ライブラリ・フォルダーの基本的な使い分けについては、以下の記事も参考にしてください。

SharePointのサイト・ライブラリ・フォルダーの違い|どう使い分ける?

 

SharePointサイトを分けすぎるデメリット

サイトを分ければ権限や業務を独立して管理しやすくなりますが、サイト数が増えるほど管理対象も増えます。

たとえば、次のような項目です。

  • サイト所有者
  • メンバー
  • アクセス権
  • ナビゲーション
  • サイトの利用状況
  • 不要になったサイトの整理
  • 関連するMicrosoft 365グループなどの管理

利用者側でもサイト数が増えるほど「どこにファイルを保存すればよいのか」を判断しにくくなります。

そのため、セキュリティや整理を理由に何でも別サイトへ分割するのは避けた方がよいでしょう。

独立して管理する理由がない情報までサイトへ分けないことが重要です。

 

ドキュメントライブラリを分けすぎるデメリット

サイト数を減らすために、すべてをライブラリとして細かく分割する方法にも問題があります。

ライブラリを増やしすぎると、次のような管理が必要になります。

  • 利用するライブラリの選択
  • ライブラリごとの設定管理
  • アクセス許可の管理
  • 同期やショートカットを利用する場合の対象整理
  • 似た名称のライブラリの整理

サイトもライブラリも、数を少なくすること自体が目的ではありません。

分離する明確な理由がある単位だけを分け、必要以上に構造を複雑にしないことが重要です。

 

サイトとライブラリのどちらで分けるか判断する方法

迷った場合は、次の順番で判断すると分かりやすくなります。

利用するユーザーが大きく異なる?
        │
   ┌────┴────┐
  YES        NO
   │          │
   ↓          ↓
サイト      業務・管理主体が
分割を検討  独立している?
              │
         ┌────┴────┐
        YES        NO
         │          │
         ↓          ↓
      サイト      外部共有など
      分割を検討  サイト方針を分けたい?
                     │
                ┌────┴────┐
               YES        NO
                │          │
                ↓          ↓
             サイト      ファイル用途・設定・
             分割を検討  一部の権限だけ違う?
                            │
                       ┌────┴────┐
                      YES        NO
                       │          │
                       ↓          ↓
                  ライブラリ    同じライブラリ
                  分割を検討    内で整理

この判断フローは絶対的なルールではありませんが、サイトとライブラリを必要以上に増やさないための目安になります。

 

サイトとライブラリを分けるときの実務上の判断基準

迷った場合は、次の4項目を確認してください。

  1. 利用者
  2. 業務目的
  3. 管理担当者
  4. セキュリティ・共有方針

このうち複数の項目が明確に異なるのであれば、サイトを分ける理由が強くなります。

PCエビデンスでは、設計を単純化するための目安として、4項目のうち2項目以上が明確に異なる場合はサイト分割を強く検討することをおすすめします。

これはMicrosoftが定めている数値基準ではなく、サイトを作りすぎたり、逆に1サイトへ詰め込みすぎたりしないための実務上の目安です。

一方、利用者や業務目的は同じで、次のような違いだけであればライブラリ分割を優先して検討します。

  • ファイルの用途
  • 管理設定
  • 保存ルール
  • 一部のアクセス範囲

さらに、利用者・アクセス権・管理方法も同じで、単純にファイルを分類したいだけならフォルダーやメタデータなどで整理できます。

分けたい内容 第一候補
利用者・業務・管理主体が大きく異なる サイト
外部共有などサイト全体の方針を分けたい サイト
同じ利用者でファイル用途・管理方法を分けたい ライブラリ
一部の資料だけアクセス範囲を分けたい ライブラリを検討
同じ管理ルールで分類だけしたい フォルダー・メタデータ等

 

部署ごとのサイト設計と合わせて考える

サイトとライブラリの分け方は、部署ごとのSharePoint設計とも関係します。

部署ごとに利用者・業務・管理担当者が明確に異なるのであれば、部署サイトを作る方法は有力です。

一方、部署名が異なっていても利用するメンバーがほぼ同じ場合は、サイトを分けずに複数ライブラリを利用する方が単純になるケースもあります。

部署単位でサイトを分ける判断については、以下の記事で詳しく解説しています。

SharePointは部署ごとにサイトを分けるべき?設計の判断基準と具体例

 

SharePointのサイトとライブラリの使い分けまとめ

SharePointでサイトとドキュメントライブラリのどちらを分けるべきか迷った場合は、次のように考えると判断しやすくなります。

  • サイト:利用者・業務・管理主体・共有方針などを独立させる単位
  • ライブラリ:同じサイト内でファイル用途・管理方法・一部の権限を分ける単位
  • フォルダー:同じ管理ルールの中でファイルを整理する単位

サイトとライブラリのどちらでも技術的に実現できる場合は、「独立した業務領域として管理する必要があるか」を最初に確認してください。

独立させる必要があるのであればサイトを分け、同じ業務領域の中でファイル管理だけを分けたいのであればライブラリを分けるのが基本です。

また、迷ったからといって最初からサイトやライブラリを大量に作る必要はありません。

明確に分離する理由がある単位だけを分け、必要以上に複雑なSharePoint構成を作らないことが、長期的に管理しやすい設計につながります。

SharePoint自体とOneDrive・Teams・ファイルサーバーとの違いについては、以下の記事も参考にしてください。

SharePoint Onlineとは?OneDrive・Teams・ファイルサーバーとの違いと使い分け

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