SharePointでファイルを管理するときに分かりにくいのが、「サイト」「ドキュメントライブラリ」「フォルダー」をどのように使い分ければよいのかという点です。
Windowsのファイルサーバーに慣れていると、すべてをフォルダー階層として考えたくなりますが、SharePointではサイトやライブラリという単位も使って情報を管理します。
先に基本的な違いをまとめると、次のようになります。
| 単位 | 主な役割 | 分けるときの主な基準 |
|---|---|---|
| サイト | チーム・業務・情報をまとめる領域 | 利用者、目的、管理主体などが大きく異なる |
| ドキュメントライブラリ | サイト内でファイルを管理する領域 | ファイルの用途、設定、管理方法などを分けたい |
| フォルダー | ライブラリ内のファイルを整理する領域 | 同じ管理ルールの中で分類・整理したい |
重要なのは、サイト・ライブラリ・フォルダーを単純に「大・中・小」で使い分けないことです。
誰が使うのか、何のために使うのか、権限や管理方法を分ける必要があるのかを基準に判断します。
SharePointそのものや、OneDrive・Teams・ファイルサーバーとの違いについては、以下の記事も参考にしてください。
SharePoint Onlineとは?OneDrive・Teams・ファイルサーバーとの違いと使い分け
SharePointのサイト・ライブラリ・フォルダーの関係
SharePointでは、基本的にサイトの中にドキュメントライブラリがあり、その中にファイルやフォルダーを保存します。
SharePointサイト
│
├─ ドキュメントライブラリA
│ ├─ フォルダーA
│ │ ├─ ファイル
│ │ └─ ファイル
│ └─ フォルダーB
│ └─ ファイル
│
└─ ドキュメントライブラリB
├─ フォルダーA
└─ ファイル
Windowsのファイルサーバーに置き換えて考えると、フォルダーは比較的イメージしやすいですが、サイトとライブラリは単なる上位フォルダーではありません。
それぞれに異なる役割があるため、ファイルサーバーのフォルダー構成をそのままSharePointへ置き換えるのではなく、SharePointに合わせて構成を考える必要があります。
SharePointの「サイト」とは
SharePointのサイトは、チームや業務、特定の情報をまとめて管理するための領域です。
サイトの中には、ドキュメントライブラリだけでなく、ページ、リスト、ナビゲーションなどを配置できます。
たとえば、一般的な会社では次のようなサイト構成を検討できます。
全社サイト 営業部サイト 総務部サイト 人事部サイト 経理部サイト
ただし、必ず部署ごとにサイトを作る必要があるわけではありません。
SharePointのサイトを分けるかどうかは、組織図だけではなく、次のような要素で判断します。
- 利用するユーザーが大きく異なる
- 扱う情報の目的が大きく異なる
- 管理する担当者が異なる
- アクセス範囲を明確に分離したい
- 独立した業務やプロジェクトとして管理したい
たとえば営業部の営業資料と、人事部の採用・労務関連資料では、利用するユーザーや情報の性質が大きく異なります。
このような場合は、それぞれ独立したサイトとして管理する方が分かりやすいケースがあります。
SharePointのドキュメントライブラリとは
ドキュメントライブラリは、SharePointサイトの中でファイルを保存・管理するための領域です。
一般的な共有フォルダーのようにファイルやフォルダーを保存できますが、SharePointのライブラリでは、ファイル管理に関連するさまざまな機能を利用できます。
たとえば次のような機能があります。
- ファイルやフォルダーの保存
- ファイルの共有
- バージョン履歴
- 列やメタデータの設定
- 表示方法を変えるビュー
- アクセス許可の管理
- OneDriveを利用したWindows PCとの同期
1つのSharePointサイト内に複数のドキュメントライブラリを作成することもできます。
たとえば営業部サイトで、通常の共有資料と管理方法が異なる契約関連資料を分けたい場合は、次のような構成が考えられます。
営業部サイト │ ├─ 共有ライブラリ │ └─ 契約関連ライブラリ
このように、同じサイトを利用するユーザーの中でも、ファイルの用途や管理方法を明確に分けたい場合にライブラリを分ける方法があります。
SharePointのフォルダーとは
SharePointのフォルダーは、ドキュメントライブラリ内のファイルを分類・整理するために使用できます。
Windowsのエクスプローラーで使用するフォルダーに近いため、利用者にも理解しやすい方法です。
たとえば営業部の共有ライブラリを次のように整理できます。
共有ライブラリ │ ├─ 営業資料 │ ├─ 案件 │ └─ マニュアル
年度ごとに管理する場合は、次のような構成も考えられます。
共有ライブラリ │ ├─ 2025年度 ├─ 2026年度 └─ 2027年度
同じユーザーが利用し、権限や管理方法も同じで、単純にファイルを分類したいだけであれば、フォルダーで整理する方法は分かりやすい選択肢です。
SharePointではフォルダーを使わない方がよい?
SharePointについて調べていると、「SharePointではフォルダーを使わずメタデータを使った方がよい」と説明されていることがあります。
しかし、フォルダーを使ってはいけないわけではありません。
SharePointではフォルダーのほかに、列、メタデータ、ビューなどを利用してファイルを整理できます。
たとえば大量の文書を「年度」「顧客」「文書種別」など複数の条件で検索・分類したい場合は、フォルダーだけで深い階層を作るよりも、メタデータやビューを利用した方が扱いやすくなる場合があります。
一方、次のような環境であれば、無理にフォルダーを廃止する必要はありません。
- ファイル数がそれほど多くない
- 利用者がWindowsのフォルダー操作に慣れている
- 分類方法が単純
- フォルダー階層が深くならない
フォルダーかメタデータかを二者択一で考えず、必要に応じて組み合わせるのが現実的です。
サイト・ライブラリ・フォルダーは何を基準に分ける?
サイト・ライブラリ・フォルダーのどれを使うか迷った場合は、次の表を基準に考えると判断しやすくなります。
| 状況 | 分ける候補 |
|---|---|
| 利用するユーザーが大きく異なる | サイト |
| 業務や目的そのものが独立している | サイト |
| 管理担当者を分けたい | サイトを検討 |
| 同じ利用者だがファイル用途を明確に分けたい | ライブラリ |
| ファイルの管理設定を分けたい | ライブラリを検討 |
| アクセス範囲を継続的に大きく分けたい | サイトまたはライブラリ |
| 同じ管理ルールの中で分類したい | フォルダー |
| 年度・案件・顧客などで整理したい | フォルダーまたはメタデータ |
| 既存ファイルサーバーの階層をそのまま再現したい | 一度構成を見直す |
特に重要なのは、ファイル数だけでサイト・ライブラリ・フォルダーを決めないことです。
ファイルが少なくても利用者や管理主体が大きく異なれば、別サイトにした方が管理しやすい場合があります。
逆にファイルが多くても、利用者・目的・管理方法が同じであれば、単純にサイト数を増やす必要はありません。
サイトを分けた方がよいケース
サイトを分ける判断では、特に利用者・目的・管理主体を確認します。
利用するユーザーが大きく違う
たとえば次のような構成です。
営業部サイト 人事部サイト 経理部サイト
営業部の営業資料、人事部の採用・労務資料、経理部の経理資料では、アクセスするメンバーや情報の性質が異なります。
このような場合は、それぞれ独立したサイトとして管理する方法を検討できます。
業務の目的が独立している
部署が同じでも、長期間続くプロジェクトや、通常業務とは利用者が異なる業務を独立して管理する必要がある場合は、別サイトが適していることがあります。
管理主体を分けたい
サイトごとに管理担当者を分けたい場合も、サイトを分離する理由になります。
ただし、組織図に合わせて課や係ごとに大量のサイトを作ればよいわけではありません。
サイトを増やせば、それだけ管理する対象も増えます。明確な分離理由がない場合は、細かくサイトを増やしすぎない方が管理しやすくなります。
ライブラリを分けた方がよいケース
同じサイトを利用するメンバーでも、ファイルの用途や管理方法が異なる場合は、ドキュメントライブラリを分けることを検討します。
たとえば営業部サイトを次のように構成できます。
営業部サイト │ ├─ 共有ライブラリ │ ├─ 営業資料 │ ├─ 案件 │ └─ マニュアル │ └─ 契約関連ライブラリ
営業資料やマニュアルは通常の部署共有として扱い、契約関連資料だけは異なる管理ルールにしたい場合などです。
ライブラリを分けることで、ライブラリ単位で設定やアクセス許可、情報の整理方法を分離しやすくなります。
ただし、単に「フォルダーが増えてきたから」という理由だけでライブラリを増やす必要はありません。
フォルダーで十分なケース
次の条件がほぼ同じであれば、フォルダーで整理する方法をまず検討できます。
- 利用者
- アクセス範囲
- ファイルの管理方法
- 業務上の目的
たとえば同じ営業部メンバーが利用する営業資料を「製品別」や「年度別」に整理するだけであれば、フォルダーで十分な場合があります。
営業資料 │ ├─ 製品A ├─ 製品B └─ 製品C
無理にライブラリやサイトを増やすと、利用者にとって保存先が分かりにくくなることもあります。
分離する明確な理由がない場合は、必要以上に構成を複雑にしないことも重要です。
フォルダーごとに権限を変える設計には注意する
SharePointでは、ライブラリやフォルダーなどでアクセス許可の継承を変更し、個別のアクセス許可を設定できます。
そのため、技術的には次のような構成も可能です。
営業部共有 │ ├─ 営業部全員 ├─ 営業管理者のみ ├─ 特定プロジェクトメンバーのみ └─ 一部担当者のみ
しかし、このようにフォルダーごとに異なる権限を大量に設定すると、誰がどのファイルへアクセスできるのか把握しにくくなります。
担当者変更や組織変更が発生したときの権限管理も複雑になります。
アクセス対象が一時的ではなく、継続して明確に異なるのであれば、フォルダーごとに個別権限を増やす前に、ライブラリやサイトを分ける方が管理しやすくならないか検討してください。
ただし、フォルダー単位の権限設定自体を禁止する必要はありません。
限定的な例外として使用するのであれば有効ですが、SharePoint全体の基本設計として大量に使用するのは避けた方が管理しやすくなります。
具体例|部署共有をSharePointで作る場合
たとえば営業部の共有ファイルをSharePointへ保存するとします。
最初から複雑なサイト・ライブラリ構成を作る必要はありません。
まずは次のような単純な構成から検討できます。
営業部サイト
│
└─ 共有ライブラリ
│
├─ 営業資料
├─ 案件
└─ マニュアル
この状態で、営業部のメンバー全員がほぼ同じ条件で利用できるのであれば、無理に分割する必要はありません。
その後、たとえば契約関連資料だけアクセス範囲や管理方法を変える必要が出てきた場合は、次のようにライブラリを分けることを検討します。
営業部サイト │ ├─ 共有ライブラリ │ ├─ 営業資料 │ ├─ 案件 │ └─ マニュアル │ └─ 契約関連ライブラリ
さらに利用するユーザーや業務そのものが大きく異なるのであれば、別サイトとして分離することを検討します。
このように、
- 同じ利用者・同じ管理ルールで分類だけしたい場合はフォルダー
- 同じサイト内でファイルの管理方法を明確に分けたい場合はライブラリを検討
- 利用者・目的・管理主体そのものが異なる場合はサイトを検討
という考え方にすると、必要以上に複雑なSharePoint構成になることを防ぎやすくなります。
ファイルサーバーのフォルダー構成をそのまま移行しない
既存のファイルサーバーからSharePointへ移行するときに注意したいのが、現在のフォルダー階層をそのままSharePointへ再現する方法です。
たとえばファイルサーバーで、部署、担当者、年度、顧客などをすべてフォルダーとして管理していたとしても、それがSharePointでも最適とは限りません。
SharePointでは、サイト、ライブラリ、フォルダー、列、メタデータ、ビューなど複数の方法で情報を整理できます。
そのため移行前に、少なくとも次の点を確認します。
- 誰が利用するデータなのか
- どの部署・チームが管理するのか
- アクセス範囲を分ける必要があるか
- 管理方法を分ける必要があるか
- 単なる分類目的のフォルダーではないか
「現在フォルダーが分かれているから、SharePointでも同じように分ける」ではなく、分かれている理由を確認してから構成を決めることが重要です。
サイト・ライブラリ・フォルダーの違いまとめ
SharePointのサイト・ドキュメントライブラリ・フォルダーは、それぞれ次のように考えると分かりやすくなります。
| 単位 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| サイト | 利用者・目的・管理主体などが大きく異なる情報を管理する単位 |
| ライブラリ | 同じサイト内でファイルの用途や管理方法を分ける単位 |
| フォルダー | 同じ管理ルールの中でファイルを分類・整理する単位 |
単純に大きさだけで分けるのではなく、利用者・権限・用途・管理方法を基準に判断してください。
また、SharePointではフォルダーを使ってはいけないわけではありません。同じ管理ルールで利用するファイルであれば、フォルダーを使って分かりやすく整理する方法も有効です。
逆に、フォルダーごとの個別権限が大量に必要になってきた場合は、ライブラリやサイトの分け方そのものを見直した方がよい可能性があります。
SharePointの基本構造を理解したら、次はSharePointの「同期」と「OneDriveへのショートカット」の違いを理解しておくと、Windows PCからSharePointを利用するときの仕組みが分かりやすくなります。
