Windows 11には、PC全体を最近の状態へ戻せる「ポイントインタイム リストア(Point-in-Time Restore)」という回復機能があります。
Microsoftは2026年6月に一般提供を開始し、Windows 11 バージョン24H2以降のクライアントPCで利用できるようになりました。
従来の「システムの復元」と似ていますが、大きな違いがあります。
ポイントインタイム リストアでは、Windowsやアプリ、設定だけではなく、ローカルに保存しているファイルも含めてシステム全体を以前の状態へ戻します。
そのため、復元ポイントを作成したあとに保存・変更したファイルは失われる可能性があります。
この記事では、Windows 11のポイントインタイム リストアとは何か、システムの復元との違い、設定場所、使い方、復元すると何が消えるのかを解説します。
- 結論|直近72時間以内の復元ポイントへPC全体を戻す機能
- ポイントインタイム リストアとは?
- システムの復元との違い
- 復元すると個人ファイルも消える?
- OneDriveのファイルはどうなる?
- ポイントインタイム リストアは長期バックアップの代わりにはならない
- 復元ポイントはどのくらいの頻度で作成される?
- ディスク容量はどのくらい使用する?
- どのPCで既定でオンになる?
- ポイントインタイム リストアが有効か確認する方法
- ポイントインタイム リストアをオンにする方法
- 実際にPCを以前の状態へ戻す方法
- Windowsが起動できなくても使える?
- BitLocker回復キーが必要になる場合がある
- 復元後はWindows Updateを確認する
- Windowsが入っていない別ドライブも戻る?
- 72時間より前に戻したい場合
- ポイントインタイム リストアを使う前の注意点
- ポイントインタイム リストアが表示されない場合
- やってはいけないこと
- まとめ
結論|直近72時間以内の復元ポイントへPC全体を戻す機能
ポイントインタイム リストアは、Windows PCの状態を定期的に保存し、問題が発生したときに保存されている復元ポイントへ戻すための回復機能です。
復元対象には主に次の内容が含まれます。
- Windows OS
- インストールされているアプリ
- Windowsやアプリの設定
- ローカルに保存されているファイル
- パスワード
- 証明書
- キーなどのシステム状態
つまり、従来のシステムの復元よりも広い範囲を巻き戻します。
既定では約24時間ごとに復元ポイントが自動作成され、最大72時間保持されます。
ただし、
「72時間前までなら、いつでも好きな時刻へ戻せる」
という意味ではありません。
実際に利用できるのは、そのPCに保存されている復元ポイントです。
PCの使用状況、電源状態、スリープ、再起動、ディスクの空き容量などによって、復元ポイントが作成されるタイミングや残っているポイントは異なる場合があります。
ポイントインタイム リストアとは?
ポイントインタイム リストアは、WindowsのVSS(Volume Shadow Copy Service)を利用してPCの状態を定期的に保存する機能です。
保存された復元ポイントはPCのローカルディスク上に保存されます。
PCに問題が発生した場合は、Windows回復環境(WinRE)から復元ポイントを選び、その時点の状態へPCを戻します。
たとえば、次のような場合に利用できます。
- Windows Update後にPCが正常に起動しなくなった
- ドライバー更新後に不具合が出た
- アプリをインストールしてからWindowsが不安定になった
- 設定変更後に問題が発生した
- 直近の変更後からPCの動作がおかしくなった
長時間のトラブルシューティングやPCの再構築を行う前に、最近の正常な状態へ戻せることがポイントインタイム リストアの特徴です。
システムの復元との違い
ポイントインタイム リストアと従来の「システムの復元」は、どちらもPCを以前の状態へ戻す機能ですが、復元される範囲が大きく異なります。
| 項目 | ポイントインタイム リストア | システムの復元 |
|---|---|---|
| Windowsのシステムファイル | 戻る | 戻る |
| Windowsの設定 | 戻る | 戻る |
| アプリ | 戻る | 影響する場合がある |
| ローカルの個人ファイル | 戻る | 基本的に影響しない |
| 復元ポイント | 定期的に自動作成 | イベント時または手動 |
| 保持期間 | 最大72時間 | ディスク容量などによる |
| 設定場所 | Windowsの設定 | コントロールパネルなど |
| 主な復元範囲 | OSボリューム全体の状態 | 主にシステムファイル・設定・アプリなど |
最も重要なのは、
「ポイントインタイム リストアではローカルの個人ファイルも巻き戻る」
という点です。
従来のシステムの復元と同じ感覚で使用しないよう注意してください。
復元すると個人ファイルも消える?
ポイントインタイム リストアを実行すると、選択した復元ポイントより後に行ったローカルファイルの変更は失われる可能性があります。
たとえば、10月7日15時のPCを10月6日15時の復元ポイントへ戻した場合、10月6日15時から10月7日15時までの間に行った次のような変更が巻き戻されます。
- 新しく作成したファイル
- 保存した写真
- 編集したExcelやWordファイル
- ダウンロードしたファイル
- アプリのインストール
- Windowsやアプリの設定変更
- パスワードなどの変更
そのため、ポイントインタイム リストアを実行する前には、復元ポイントより後に作成・変更した必要なファイルを別の場所へ保存できないか確認してください。
OneDriveのファイルはどうなる?
OneDriveなどのクラウドサービス上に保存されているデータは、ポイントインタイム リストアによる直接の復元対象ではありません。
そのため、OneDriveのクラウド上に保存されているファイルそのものが、PCと一緒に72時間前の状態へ戻るわけではありません。
ただし、PC上に同期されているOneDriveファイルについては、ポイントインタイム リストア後にローカル側とクラウド側の状態に差が発生する場合があります。
その結果、同期競合が発生する可能性もあるため、復元後はOneDriveの同期状態を確認してください。
重要なファイルについては、ポイントインタイム リストアだけに依存せず、OneDriveや別のバックアップ先にも保存しておく方が安全です。
ポイントインタイム リストアは長期バックアップの代わりにはならない
ポイントインタイム リストアは便利な回復機能ですが、写真や文書などを長期間保護するバックアップの代わりにはなりません。
理由は次のとおりです。
- 復元ポイントは同じPCのローカルディスクに保存される
- 保持期間は最大72時間
- ディスク容量が不足すると古い復元ポイントから削除される
- 復元ポイントを独立したバックアップイメージとして書き出す機能ではない
- SSDやPC本体が故障した場合の独立したバックアップにはならない
つまり、
「Windows Updateや設定変更でPCがおかしくなったので、直近の正常な状態へ戻す」
といった短期間のトラブル回復向けの機能です。
写真や文書などの長期保管は、OneDriveや外付けドライブなどを利用した別のバックアップと組み合わせてください。
復元ポイントはどのくらいの頻度で作成される?
既定では、ポイントインタイム リストアの復元ポイントは約24時間ごとに自動作成されます。
保持期間は最大72時間です。
そのため、通常は直近数日間の復元ポイントを利用する機能と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、24時間ぴったりに作成されるとは限りません。
PCが次のような状態の場合は、作成タイミングなどが変わる可能性があります。
- 電源がオフになっている
- スリープしている
- モダンスタンバイ中
- ディスクの空き容量が不足している
したがって、実際に利用できる復元ポイントはPCごとに異なります。
ディスク容量はどのくらい使用する?
既定の最大使用量は、OSボリューム容量の2%です。
たとえば500GBのOSボリュームなら、単純計算では最大約10GBが上限の目安になります。
ただし、この容量が最初からすべて確保されるわけではありません。
実際に復元ポイントで使用している容量が使われ、未使用分は通常のWindowsやファイル保存に利用できます。
また、ディスクの空き容量が少なくなると古い復元ポイントから削除されます。
Microsoftでは、空き容量が20GB以下になると復元ポイントが削除される場合があると案内しています。
どのPCで既定でオンになる?
ポイントインタイム リストアは、企業などで管理されていないPCでは既定で有効になる構成があります。
主な対象は次のようなPCです。
- Windows Home
- 組織で管理されていないWindows Pro
ただし、既定で有効になるには、WindowsがインストールされているOSボリュームが200GB以上であることなどの条件があります。
OSボリュームが200GB未満の場合でも、対応環境であれば手動でポイントインタイム リストアを有効にできます。
企業や学校で管理されているPCでは、ポイントインタイム リストアの状態が管理ポリシーによって制御される場合があります。
Microsoftでは企業管理端末について、Windows 11 26H2を境に既定動作の扱いが変わることを案内していますが、実際に利用するかどうかは組織のポリシーによって異なります。
会社PCの場合は、利用者が自己判断で設定を変更せず、管理者の運用方針を確認してください。
ポイントインタイム リストアが有効か確認する方法
現在の状態は、Windows 11の「設定」から確認できます。
- スタートボタンをクリックする
- 「設定」を開く
- 「システム」を選択する
- 「回復」を開く
- 「ポイントインタイム リストア」を確認する
- 「表示または編集」を選択する
ユーザーアカウント制御が表示された場合は「はい」を選択します。
設定画面では、環境に応じて次のような情報を確認できます。
- ポイントインタイム リストアのオン・オフ
- 利用可能な復元ポイント
- 使用しているディスク容量
- 最大使用量
設定を表示・変更するには、管理者権限が必要になる場合があります。
ポイントインタイム リストアをオンにする方法
ポイントインタイム リストアがオフになっている場合は、対応環境であれば設定画面から有効にできます。
- 「設定」を開く
- 「システム」を選択する
- 「回復」を開く
- 「ポイントインタイム リストア」を選択する
- 「表示または編集」を選択する
- ユーザーアカウント制御が表示された場合は「はい」を選択する
- ポイントインタイム リストアをオンにする
有効化すると、Windowsが定期的に復元ポイントを作成するようになります。
Homeや一般的なPro環境では基本的に既定の頻度と保持期間が使用されます。
企業環境では、管理ポリシーによって設定が変更されている場合があります。
実際にPCを以前の状態へ戻す方法
ポイントインタイム リストアによる復元は、Windows回復環境(WinRE)から実行します。
Windowsが起動できる場合
- 「設定」を開く
- 「システム」を選択する
- 「回復」を開く
- 「PCの起動をカスタマイズする」などの詳細スタートアップから再起動する
- Windows回復環境を表示する
Windows回復環境から復元する
Windows回復環境が表示されたら、利用可能な場合は次のように進みます。
- 「トラブルシューティング」を選択する
- 「ポイントインタイム リストア」を選択する
- BitLocker回復キーを求められた場合は入力する
- 使用する復元ポイントを選択する
- 復元による影響やデータ損失の警告を確認する
- 続行する
- 内容を確認して復元を開始する
復元が完了するとPCが再起動し、選択した復元ポイントの状態でWindowsが起動します。
Windowsが起動できなくても使える?
ポイントインタイム リストアは、Windowsが正常に起動できない場合にも利用できます。
Windowsの起動に繰り返し失敗すると、Windows回復環境が自動的に表示される場合があります。
Windows回復環境で利用可能な復元ポイントが表示されれば、その時点までPCを戻すことができます。
Windows Updateやドライバー更新後にPCが正常起動しなくなった場合などに利用できる回復方法です。
BitLocker回復キーが必要になる場合がある
BitLockerでWindowsドライブが暗号化されているPCでは、ポイントインタイム リストアを実行するときにBitLocker回復キーが必要になる場合があります。
復元を始めてから、
「BitLocker回復キーが分からない」
という状態になることを避けるため、事前に回復キーを確認しておくことをおすすめします。
BitLocker回復キーの確認方法は、以下の記事で解説しています。
復元後はWindows Updateを確認する
ポイントインタイム リストアでは、Windows自体も以前の状態へ戻ります。
そのため、復元ポイント作成後に適用されたWindows Updateやセキュリティ更新などが巻き戻る場合があります。
復元が正常に完了したら、次の手順でWindows Updateを確認してください。
- 「設定」を開く
- 「Windows Update」を開く
- 「更新プログラムのチェック」を実行する
必要な更新プログラムが表示された場合は、内容を確認して再度適用します。
Windowsが入っていない別ドライブも戻る?
複数のドライブやボリュームを使用しているPCでは、ポイントインタイム リストアの対象になるのはWindowsがインストールされているOSボリュームです。
たとえば、
Cドライブ:Windows
Dドライブ:データ保存
という構成の場合、基本的にポイントインタイム リストアの対象となるのはCドライブです。
Dドライブなど別のボリュームは、ポイントインタイム リストアによる復元対象ではありません。
ただし、大切なデータについては、ポイントインタイム リストアの対象かどうかに関係なく別途バックアップしておくことをおすすめします。
72時間より前に戻したい場合
ポイントインタイム リストアの復元ポイントは最大72時間保持されます。
そのため、
「1週間前の状態へ戻したい」
といった用途には向いていません。
より以前のシステム状態へ戻したい場合は、従来の「システムの復元」で利用可能な復元ポイントが残っていないか確認する方法があります。
システムの復元を有効・無効にする方法は、以下の記事で解説しています。
ポイントインタイム リストアとシステムの復元は、用途や復元範囲が異なるWindowsの回復機能です。
ポイントインタイム リストアを使う前の注意点
復元を実行する前に、最低限次の点を確認してください。
- 復元ポイント以降に作成・変更したローカルファイルは失われる可能性がある
- 新しくインストールしたアプリも以前の状態へ戻る
- Windowsやアプリの設定変更も戻る
- パスワードや証明書、キーなども以前の状態へ戻る場合がある
- BitLocker回復キーが必要になる場合がある
- OneDriveは復元後に同期競合が発生する可能性がある
- 復元中はPCの電源を切らない
- ノートPCではACアダプターへ接続しておく
- 復元後はWindows Updateを確認する
特に重要なのは、ローカルファイルも復元対象であることです。
従来のシステムの復元と同じつもりで実行しないでください。
ポイントインタイム リストアが表示されない場合
Windows 11の「設定」→「システム」→「回復」にポイントインタイム リストアが表示されない場合は、まずWindows 11のバージョンとWindows Updateを確認してください。
ポイントインタイム リストアはWindows 11 バージョン24H2以降のクライアントPCで提供されています。
また、PCの構成や管理状態によって利用状況が異なる場合があります。
会社PCでは管理者によって機能や設定が制御されていることもあります。
表示されないという理由だけで、レジストリやグループポリシーを自己判断で変更することはおすすめしません。
やってはいけないこと
ポイントインタイム リストアを使用するときは、次の操作を避けてください。
- 必要なファイルを確認せずに復元を開始する
- BitLocker回復キーを確認せずに復元を始める
- 復元中にPCの電源を切る
- ノートPCをバッテリー残量が少ない状態で復元する
- 長期バックアップの代わりとしてポイントインタイム リストアだけに依存する
- 会社PCの設定を利用者が自己判断で変更する
復元はPC全体の状態を変更する操作です。
「とりあえず元に戻してみる」のではなく、どの復元ポイントへ戻すのか、戻したあとに何が失われる可能性があるのかを確認してから実行してください。
まとめ
ポイントインタイム リストアは、Windows 11のPC全体を最近の正常な状態へ戻すための回復機能です。
既定では約24時間ごとに復元ポイントが自動作成され、最大72時間保持されます。
ただし、72時間以内の好きな時刻へ自由に戻せるわけではなく、実際にPC上に保存されている復元ポイントから選択します。
従来のシステムの復元との最大の違いは、
「ローカルの個人ファイルも含めてOSボリュームの状態を巻き戻す」
ことです。
そのため、復元ポイントより後に行った次のような変更は失われる可能性があります。
- 作成したファイル
- 編集したファイル
- インストールしたアプリ
- 変更した設定
- 変更したパスワードなど
一方、OneDriveなどクラウド上に保存されているファイルそのものは直接の復元対象にはなりません。
ただし、復元後にPC上のファイルとクラウド側の状態が異なると同期競合が発生する可能性があるため、OneDriveの状態も確認してください。
ポイントインタイム リストアは、
「Windows Updateやドライバー変更などで、直近数日以内にPCがおかしくなった」
という場合に特に役立つ機能です。
一方で、長期間のデータ保護を目的としたバックアップの代わりにはなりません。
復元する前には必要なローカルファイルとBitLocker回復キーを確認し、復元後はWindows UpdateとOneDriveの同期状態を確認してください。
